ナオキ
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皆さんこんにちは!
生涯全力スキーヤーのナオキです!
先日、海外のスキー業界について書かれた、
とある興味深い記事を読みました。
内容は、スイスのスキー人口減少に歯止めをかけるために、業界全体であらゆる取り組みをしているとのことでした。
僕はこの記事を読み、
非常に日本のスキー業界と似た印象を受けました。
だからこそ、僕たち現役のスキーヤーにとっても、
スイスの現状やこれからの取り組みは無視できないものであり、個人的にもこれからの日本のスキー業界について考える非常に良い機会となりました。
なので、僕のブログを見ていただいている、雪山が大好きな皆さんへも是非ご紹介したいと思います!
スイスは、世界中を見渡しても、
スキーをする人口比率は高いのではないかと思います。
そんなスイスでも現在の日本と同じようにスキー人口の減少傾向がありました。
スイスはスキーヤーの国だと考えられてきたが、実のところ雪に興味がない人も一部存在する。そういった人々の多くは、冬休みを山のゲレンデよりビーチで過ごすことを好むようだ。
僕は、日本も世界で有数の雪国であり、
日本の雪は世界一だと本気で思っています。
しかし、そんな日本も僕たちのように、
スキーを愛する人ばかりでなく、
全く雪に興味を持たない人も当然います。
スイスのスキー人口も減少しており、
08/09シーズンから17/18シーズンの滑走日数は23%減少している。
(swissinfo.ch)
スイス人研究者ローラン・ヴァナ氏は世界のスノースポーツ・山岳観光業に関する年次報告書でこう分析している。
欧米のスキー市場は横ばい傾向にある。しかしこれは世界的なスキー人口には反映されていない。中国のような新興市場のおかげで世界のスキー人口は増加しているためだ
本当に日本でも似た状況ですよね(笑)
僕のホームゲレンデの新潟県妙高市の赤倉温泉でも、温泉街を歩いていてすれ違うのは日本人より外国人の方が多いくらいです。
店も忍者や祭りといった日本の伝統をコンセプトとして、外国人観光客をターゲットにしたお店がここ数年で非常に多くなった印象です。
スキーリフト運営協会「スイス山岳鉄道」の報告書によると、
スイスのゲレンデで滑っているスキーヤーの約3分の2はスイス人。その内訳は主に30歳以下の若者と、50歳以上のベビーブーマーだ。
13〜17年の間に行われたスキーのトレンド調査によると、
30〜50歳のスキーヤーは少ないとのこと。
またツーリズム・モニター・スイスが最近の記者会見で発表した、スイスのスキーリゾートで7千人を対象にしたインタビューの結果からは、
過去5年間でこの年齢層のスキーヤーの数が6%減少した
ということがわかった。
アルプス地方の収入の5分の1は観光業によって生み出され、人工の4分の1が直接もしくは間接的に観光業に携わる仕事をしているとのこと。
スイスのアルプス地方は世界的に有名な観光地であることから、日本以上にスキー人口の減少による業界の衰退は死活問題になりますね。
スキー人口減少の最も大きな要因が、
「お金」だと僕は考えています。
ちなみに2番目が「時間」です。
スイスのゲレンデに30~50歳の利用者が少ない理由の一つは、『グローバル化』にあるとのことです。
旅行費用が安くなったため、遠くて寒い山に苦労して出かけるのも、冬に飛行機でビーチへ行くのも、ニューヨークを訪れるのも同じくらい簡単になった。太陽の輝く場所で1週間過ごす方が、家族でスキー旅行に行くより安く上がることも多い。
スイス山岳鉄道のデータによると、
17/18年シーズンのスキー1日券は平均61.36フラン(約6800円)。39カ所のスキー場のリフト券価格の比較が初めて行われた04/05年に比べて、2割以上値上がりした。
こうした現状からも、高所得者の方がスキーをする可能性はずっと高いといえますよね。
スキーは好きでも、
それほどお金の余裕がないスイスの人々は、
フラン高を背景に、オーストリアやフランス、イタリアといった近隣のアルプス諸国に行こうと考えるようです。
オーストリアのザンクト・アントン・アム・アールベルクの数字を見ると、
99/00年の冬、スイス人観光客の宿泊日数は2万190日だった。それが14/15年の冬には4万2940日まで伸びた。これは2万2750日の増加、つまり112.7%増ということだ。
グローバル化が進んで旅行費用が安くなったことと、フラン高で出費がかさむことから、
スイスのスキーヤーは近隣諸国へと出て行ってしまうという現状なんですね。
スイスの山岳リゾート地である、
「サース・フェ―」は、値下げの必要性をよく理解し、これまでに無い取り組みを始めました。
国内のスキー客を呼び戻すため、安価なリフト券を販売しているというのです。
サース・フェーは2年前、222フラン【¥24000】でシーズン券の販売を開始した。
期日までに「ウィンターカード」というシーズン券の購入申し込み人数が7万7777人に達したら、申し込んだ人は222フラン【¥24000】で購入できるというキャンペーンだ。このキャンペーンは成功を収め、今シーズンも展開された。16/17年シーズンに宿泊日数が17.7%増加したのを受け、サース・フェーは18/19年に少なくとも10%の増加を見込んでいる。
ほかにもスイス国内の多くのスキーリゾートが割引シーズン券を販売しています。
例えばスイス西部の「マジック・パス」(早期割引で399フラン【約¥43000】)は30カ所のリゾートで使用できる。
またベルナーオーバーラント地方には、アデルボーデン・レンク、グシュタード、ユングフラウ、ハスリタールといったスキー場で使用できる「トップ4」(666フラン【¥72000】)というシーズン券がある。
スイス中部のアンデルマットのスキー場では、利用者数が少ないと予測される日に行けば、わずか10フラン【¥1080】で1日券が買える。
中でも個人的には日本円で1000円ちょっとで一日券が買える一番最後の取り組みが一番驚きました!
余談ですが、「サース・フェ―」は“アルプスの真珠”とも呼ばれる野生動物や高山植物の宝庫でもあり、まさにアルプスの魅力を存分に満喫できる山岳リゾートです。
僕も今回の記事で興味が湧いたので、
いつか行ってみたいなと思いました!
スイス人はスキーを履いて生まれてくるなどと言われるそうです。(笑)
しかし、これは日本でも同じですが、
スキーを習う機会を持たないまま大人になり、
30歳になるともう始めるには遅すぎると考えるスイス人も多いそうです。
非常に残念ことではありますが、
スイス観光業の一部門であるスイススキー連盟は、
そのような考えを変えるため、新しいパッケージ商品を打ち出したのです。
例えば「First Ski Experience(スキー初体験)」というパッケージでは、ホテルにインストラクターが迎えに来たあと、スキーを借りる手助けをし、1時間のレッスンをしてくれる。スイススキー連盟のサイトには、このサービスを行っている15カ所のスキーリゾートが掲載されている。
スキースクールも、完全な初心者を対象とした、3日間で滑れるようになるという別のパッケージ商品を提供している。午前中のレッスンを3日受ければ、初心者でも青コースのゲレンデをパラレルで滑って降りて来られるようになるという。
インストラクターがレンタルの手助けまでしてくれるというサービスは、今まで聞いたことが無かったので、非常に新鮮でした。
確かに、初めてスキーをする人にとって、道具のことはさっぱり分からないと思うので、そこでプロの方が助けてくれるのは心強いですよね!
それに、 「初心者が3日間で滑れるようになる!」
とコンセプトを明確にしたサービスも今の日本のスクールに僕が知る限りではありませんでした。(修学旅行向けくらいですか...)
これだと、初めて雪山に来て「楽しめるかなぁ...」と不安な人も、このコースを申し込めば、安心して来ることができますね!
個人的にはすぐにでも見習うべき、
一番の取り組みだと感じました!
スイスのスキー場にとって、
スキー客を引き寄せるためにもう一つ重要なのは、人工降雪機を含む最新設備を導入することです。
それによって、長い間雪が降らなくてもスキーができると保証できます。大きなスキーリゾートでは新しい設備に多額の投資をしているそうです。
例えばアンデルマットのスキーリゾート、スキーアリーナ・アンデルマット・セドルンは、
「スイス中部で最大かつ最新式のスキーリゾート」と謳われており、約200台の人工降雪機を有しているため、55万平方メートルのゲレンデを人工雪で覆うことができるのです。
日本ではこのレベルの設備投資はまずないでしょうね!
ベルン大学観光研究学部のテレーズ・レーマン・フリードリ氏によると、
ウィンタースポーツは現時点ではこれまで同様、サマースポーツの約4倍多くの収益を上げている。ただ同時に設備投資も相当なもので、たとえばゲレンデ1キロメートル当たりの投資費用総額は約100万フラン【日本円で約10億8250万円】だ。
スイス山岳鉄道の2017年のファクトブックには、大規模なリゾートで1日にかかる費用の内訳が掲載されています。
人工雪の製造:4万3000フラン
ゲレンデ準備:4万1000フラン
リフト維持費:12万フラン
ゲレンデの警備:1万6000フラン
これから積雪の多い冬は、気候変動の影響でその頻度は減ると予想されていることからも、スイス山岳鉄道は、人工雪がスキー産業の生き残りのための助けとなると考えているとのことでした。
ここについては、流石に今の日本の観光業界の現状やスキー業界の見通しでは、残念ながら日本ではスイスと同じような大型設備投資を真似することは難しいでしょうね(笑)
それに幸い、日本では暖冬もありますが、まだまだ雪はしっかり降ってくれていますからね!
スキーをするには、
移動に長時間要するため、雪山に遊びに行こうにも時間が無くて断念してしまうことも多いと思います。
そこで、スイスのスキー業界では、ターゲットとなる30〜50歳の層の働き方の変化に合わせた取り組みをしています。
スイスでは現在、在宅勤務やフリーランスの割合が増えてきています。そして、その多くが30〜50歳の年代層です。
スイス東部のミア・エンガディンは、
フリーランスや在宅勤務の人々がスキーと仕事を両立できるよう、コワーキングスペースを提供している。
雪が多くスキー・スノーボードが盛んな地域のラークスも同様に、
都市に住む子供のいない人を特にターゲットとし、ハイテクのワークスペース「Bridge」を17/18年シーズンにオープンさせた。
僕はスキーで自分だけの仕事を創ることを夢に活動していますが、
日本でも、学校を卒業して社会人となった一般のサラリーマンの方々にも仕事とスキーの両立が出来るような仕組みができたら良いですね!
この取り組みは、僕が一番感動しました!
子供の頃にスキーに親しめば、大人になってもスキーをしてくれるだろうという戦略のもと、スイスの多くのスキー場が子供達が無料でスキーをできるようにしているのです。
すごく素敵じゃないですか?笑
その取り組みの一例として、
スイス政府観光局の新キャンペーンでは、
44カ所のスキーリゾートで使える子供用リフト券1万2770枚が無料で配られている。これは6日券で、19年のスキーシーズンの終わりまで入手可能だ。
国内市場向けには、 元アルペンスキー世界王者ベルンハルト・ルッシ氏が指揮を執るクレヴェン財団が、
12歳までの子供を対象に、水曜午後に4回、8カ所のスキー場を無料で利用できるようにした。(国内の多くの小学校で水曜午後は休校)
子供達に何とかして雪山に遊びに来てもらい、スキーを楽しんでもらおうという考えに僕はすごく心を惹かれました!
僕自身も、もっと影響力を付け、日本でもこんな取り組みをしていこうと思いました!
スイスだけでなく、
日本にも大いに当てはまることなんですが、
スキーをしない家庭や、スキーにはお金がかかりすぎると考える家庭の子供たちは、一度もスキーを履いたりゲレンデの喜びを味わったりする機会がない恐れがあるのです。
もうこれは僕たちスキーを愛する人間にとって、めちゃくちゃ悲しいことですよね。
僕もいつになるかは未定ですが、子供が生まれて親になった時、一度は子供にスキーの楽しさを感じさせてあげたいなという妄想をしたりしています(笑)
そこで、そんな中でスイスでは、
新しいスキーヤーを育てる重要な場である
学校のスキー合宿が推進されているのです!
連邦政府は14年、「Initiative for Snow Sports Switzerland(スノースポーツ・スイスへのイニシアチブ)」を立ち上げた。これは各種スノースポーツ協会と各州の共同プロジェクトで、06年のスノーボードのオリンピック金メダリスト、ターニャ・フリーデン氏が主宰する。
学校の教師はオンラインプラットフォーム「GoSnow」を使って、スキー合宿の予約を素早く簡単に行ったり、最もお得なプランを探したりできる。連邦国防・国民保護・スポーツ省スポーツ局公認のスノースポーツ合宿への参加児童・青少年数は11年以降増加しているが、それはこの取り組みの効果でもあると考えられている。政府のデータによると、17年には2314カ所の場所で10万5302人の子供が合宿に参加した。
確かに、会社や合コンで「スキーをしています!」って自己紹介すると、
「修学旅行でしたしたことないなぁ...」
そんな風に言われることが非常に多いです。笑
これって裏を返すと、
修学旅行で初めてスキーをする人が非常に多いということです!
つまり、修学旅行でスキーをして楽しさを感じてもらえる人が増えると、その後にもスキーをしようと思ってもらえることが多いと思います!
実際に僕の大学の基礎スキーサークルに、新入生で入部してくれた子に、なぜ大学でスキーをしようと思ったのか?聞いてみると、「修学旅行のスキー合宿で初めてスキーをして、すごく楽しかったから」と言う子が毎年非常に多かったことを覚えています!
『スキー合宿は、新しいスキーヤーを育てる重要な場』
まさにその通りだと思います!!
ベルン大学のテレーズ・レーマン・フリードリ氏は、このように語っている。
スキーの魅力を向上させるためのこうした取り組みをもってしても、アルプスで休暇を過ごす必要性は年とともに停滞、あるいは減少するだろうと確信している。 「そのため、アルプス地域が今後どのように発展していくか、そして観光業への依存をどのように減らしていくかが問題だ。観光地よりも生活圏として発展すべきだし、成長に頼る度合いを減らしていくべきだ。
このように日本でも、どんどんスキー場の需要は減っていってしまうのだろうか?
なんて、縁起でもないことを考えてしまいましたが、願望も込めて今後もスキーが消えることはないと思っています。スイスでも、もちろん日本でもです!
ただそれ以上に、僕たちのようにスキーを愛する人間が、スキーの楽しさを伝えていくことでスイス人にも日本人にも、スキー離れに歯止めをかけていかないといけないと感じています。
スイスのスキー業界の、今回のようなスキー人口減少を食い止めようとする取り組みには共感できることが多く、また見習うべきことも多いと感じました!
というわけで長くなりましたが、 海外のスキー業界について見てきました。
所々で個人的な意見や経験も挟ませてもらいましたが、今回の内容を受けて、僕自身もこれからのスキー産業についてや、個人の活動について振り返る非常に良い機会となりました。
今後は、検定合格のために上達を目指すスキーヤーのサポートに加え、 まだスキーをしたことがない人達へ、スキーがいかに楽しいものであるかをお伝えできるような発信者でありたいと思います!
と、いうことでこれからは、初めての方向けの初歩的な投稿も少しづつ増やしていきたいと思います!
【参考記事】
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