ナオキ
生涯全力スキーヤー
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『もう、いいや・・・』
もうこれ以上…
こいつらと話しても無駄だ
皆さんこんにちは!
生涯全力スキーヤーのナオキです!
今回は、苦悩日記の第三話です。
第一話と第二話をまだ見ていない人は、下記よりご覧ください!
大学入学後、基礎スキーサークルに入部。
1年で苦悩の末、2級に合格。
その後、大学初シーズンを終えオフシーズンの間にYoutubeを見て、全日本スキー技術選という大会があることを知る。
色んな選手、色んな技術があることを学び、
懸命にイメトレをして迎えた次のシーズン。
すぐに驚くほどの成果が表れた!
そして、目標だった1級にも合格。
しかし、まだまだ伸び始めの段階だったためか、
一つの新たな感情が生まれたのだった。
今シーズンの目標達成~!!
それで、いいのか…?
1年生の頃に先輩達が合格していく様子を見て、
「いつかは自分も!」
と憧れていた1級ですが、合格したのは2月の初旬。
まだまだシーズンの序盤で目標達成できてしまった訳です。
もっとできる!
もっと伸びるはずだ!!
どんどんスキーが楽しくなって、
モチベーションも上がっていたので、
こんなところで満足したくない!
と、更にスキルアップを求めていました。
ちなみに、こちらがその時の検定のビデオです!
今、改めて見ていると
…まだまだ全然下手でしたね(笑)
1級を超えるレベル
それは名前を聞いたことがあった程度の上級資格「テクニカルプライズ」
準指導員への道もあったのですが、
それよりも純粋にスキーの技術力が求められるテクニカル(通称テク)に惹かれたのでした。
何より、赤倉の学生には、
テクニカルを持っている人は誰もいませんでした。
自分が知る中では前人未踏
これは何としても達成したいと思い、
気持ちを新たに気合いを入れ直しました。
当時はテクニカルがどれほどのレベルかも知らなかったので、とにかくメチャクチャ上手い人が合格できるという程度の認識でした。
しかし、実際に1級に合格し、
先輩方と一緒に練習させてもらえるようになって愕然としました。
先輩方も1級の合格してからは当然、次の目標のテクニカルや準指導員を目指して練習に励んでいると僕は勝手に思い込んでいました。
ところが実際に先輩たちに期待して話を聞いてみると、
「さすがにテクは無理かなぁ...」
と諦めムードでした。
他に目標があるかと思えば、そうでもない…
そもそも1級に合格した後に全員がテクニカルを目指す訳ではないし、当然、そんな義務もありません。
スキーをどんな気持ちで楽しむか
本来それは自由なはず。
しかし自分の力を付けるために上だけを見続けていた僕は、そんな先輩達の意識の低さにイライラを隠せませんでした…
自分と同じように高い向上心を持って練習臨んで当たり前
そんな独りよがりな考えを持っていた僕は
意識もレベルも低い同期先輩含め赤倉の人たちに憤りを感じていました。
それも、
テクニカルを目指して一緒に練習ができて、色んなことを教えてもらえるという期待を裏切られたような気がしたからです。
僕らが居候していた赤倉では、
1級に合格することをゴールとしており、テクニカルやクラウンのための練習や班分けは無かったのです。
1級に合格した人達は、
1級を持っている人同士で各自練習するか、1級合格を目指す班に混ざってレベルに見合わない講習を受けるしかなかったのです。
そして、テクニカルを目指すと決心した僕にとって、
そんな環境ではヌル過ぎる!
と勝手に思い込み、
普段の練習でもそのイライラは隠し切れませんでした。
誰かがコブを降りてくるのが遅ければ怒鳴り、練習でレベルの低いと感じるメニューでは腹を立てて離脱して一人別メニュー。伴うように生活態度も悪くなる一方。
そんな最低な人間の周りに人が来るはずもなく、結局いつも最後まで孤独に練習するようになりました。(たまに意識の高い後輩はアドバイスを求めに来ていましたが)
こいつらとは分かり合えるはずがない!だって俺は本気でテクを目指してんだから!
当時は本気でそう思っていたため、
孤立しても全く気にせず、ひたすら独りで練習し、宿に帰っては仕事後に部屋に籠って独りでその日のビデオ研究をしていました。
多少の力を付けて天狗になっていたと言えばそれまでですが、
それよりも、
強い自己心酔と怒りに侵され、
全く周りが見えなくなった。
当時の僕は、そんな感じでした。
こうして日に日に悪くなっていく態度。
周りに悪影響を与える程の言動。
こうして僕は見切りを付けて
全く講習にも出なくなっていました。
そんな僕を見かねた同期達はある日の夜、
ついに僕を赤倉温泉街の居酒屋に呼び出し、
異例の同期会が開かれることになったのです。
今はもうそのお店は無くなってしまいましたが、赤倉にある人の少ないバーのような雰囲気の居酒屋に同期が全員集まりました。
同期全員が違う宿に配属されていたため、
一人、また一人と全部で6人が順に集まりました。
僕は一番初めに店に入って待っていましたが、
2人3人と席に座っても会話は全くありません。
なぜなら、昼に僕に同期会で声をかけてきた同期の様子から、只事ではない感じがしていたからです。
少なくとも、いつものようにみんなで集まって楽しく…そんな同期会とは絶対に違うなと思っていました。
とはいえ、話の内容は容易に察しが付きます。
当然、僕のことです。最近の僕の講習中の言動や生活態度のことだろうな、と。
そしてPM8時頃
全員が集まり、一人がおもむろに口を開きました。
今日集まってもらったのは、
ナオキ君のことなんだよね。
やっぱりそうかよ…
みんなで話してたんやけど、最近のナオキの態度は正直、目に余るから話をせなあかんと思って集まってもらった
‟みんなで話してた”
正直その部分にはかなりイラっとした。
けど、もうどうだっていい。
だって目指してるものが、意識が違うんだから。
当時のリアルな“冷めた”感情だった。
大体言われたことは予想通りだった。
簡単にまとめると、
これらに厳重注意をされた感じでした。
そして、先輩達も僕のことを気にかけていたことも聞きました。
もっと周りの人への感謝や気配りをすべきだと言われたことも鮮明に覚えています。
それを全てぶつけられた僕の率直な気持ちは…
ふざけるな!
冗談じゃない!
「お前らこそ、なんでもっと高い意識を持って練習しない!」
「なんで、今のレベルで満足してんだよ!」
「なんで、全体のレベルが低いことに何も感じない!」
何とも言えない非常に空しい叫びでした。
話し合いでそんな怒声を飛ばしながらも、そんな言動とは裏腹に次第に僕の気持ちは冷めていきました。
もう、いいや・・・
もうこれ以上、こいつらと話しなんかしても無駄だ。
この下手クソ共と俺ではスキーに対する気持ちが違いすぎるんだ。仲良しこよしで全員低いレベルでよろしくやってろよ。
そう言ってもう帰ろう。
テクにはこれからも一人で練習して1人で合格すればいい。
『こいつらとは元から目指す世界が違うかったんだ』
『そうだ、もう、辞める』
口を開こうとしたその時でした。
突然、同期の女の子が号泣し始めたのでした。
その子は、僕が1年生の時に2級に合格できずに、1番下の講習班でずっと一緒に練習していた子でした。
僕が1級に合格し、講習に出なくなってからもその子はずっと2級に合格できず、それでも練習していました。
ゲレンデで会うことは何度もあったので、
その時にたまに少しアドバイスをしたこともありました。
そして流石に直接言うことはなかったですが、習得が遅かったり講習の効率が落ちたりでイライラしていたことも多々ありました。
涙ながらに恐る恐る彼女は話し始めました。
教えてくれるのは……
嬉しいんだけど……
言い方とか…できない人の気持ちを…少しでいいから……もう少し、考えて欲しい…
後日に知ったことですが、
その子はこれまで僕がずっとイライラしていたことに不安を感じていたのでした。
呆気にとられた僕は、
直前までの怒りも吹っ飛んでしまい、
その様子に黙り込むことしかできませんでした。
その日はそこで‘‘同期会”は終了しました。
その日に宿の自分の部屋に帰り、
同期会での出来事でのモヤモヤを考えざるを得ませんでした。
本当にスキルだけを求めた今のままでいいのか?
お前、このままやとスキーだけやぞ
同期の言葉や、
あの子の泣き声が頭から離れませんでした。
ただ、
当時にがむしゃらにやってきたことが100%間違っていたとはとても思えなかったことも事実でした。
なのでいきなり素直に
今までの俺は間違っていた!
だから心を入れ替えるんだ!
と、すんなりと受け入れることもできませんでした。
ただ、どうしても心に引っかかるものがありました。
できない人の気持ちを…少しでいいから……もう少し、考えて欲しい…
あの女の子が涙ながらに訴えた言葉でした。
『できない人の気持ち…??』
いや待て、一体いつから俺は「できる奴」になったつもりでいた?
少なくとも2級に何度も落ちてた俺は間違いなく「できない奴」だったはず…
ここまで上達できたのは、
できない自分に腹を立てて、吐きそうな思いを燃やしながら頑張ってきたからじゃないのか?
もし、あの子が今もまだ当時の俺と同じ気持ちなら?
『でも俺は絶対に間違ってない…!』
そう思いながらも何かが違っていたような気もする…
そんなモヤモヤの中、
僕は眠気に意識を失っていきました…
そして次の日、
僕は朝からそんなモヤモヤを抱えたまま、
数日振りに全員が参加する練習へ顔を出したのでした…
以上、第三回でした!
次回は、そんなモヤモヤを抱えながらも、
いよいよテクニカルプライズへの挑戦です!
ということで今回は以上になります!
最後まで見ていただき、
ありがとうございました!
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